脳卒中の治療

脳卒中の一般治療経過

超急性期(発症より数時間以内) 

脳梗塞:
 発症時(最後に元気であったのが確認されている時刻を起点とします)から3時間以内であれば組織プラスミノーゲンアクティベータ(tPA)という強力な血栓溶解薬が使用できる可能性があります。tPAは強力な血栓溶解作用があり、うまく溶ければ脳梗塞の症状を改善する事ができます。しかし、同時に致命的な出血の副作用を起こす可能性も高くなりますので、この治療の適応となる条件は厳しく定められており、脳卒中の専門医が判定します。3時間以降6時間以内の場合には脳血管造影やMRI検査を行い、やはり適応があれば閉塞した血管を風船カテーテルで拡張する治療(PTA)や血栓を吸引除去する治療が行われることがあります。 
脳出血: 搬送された時点で脳CT検査を行い、出血の場所、出血の量などを診断します。出血の場所、量、意識状態などを総合的に判断し、場合によっては血腫吸引術や開頭血腫除去術を行って血腫(血液のかたまり)による脳の圧迫をとることがあります。そうでない多くの場合は血腫周囲の組織の浮腫(むくみ)をとる点滴治療や原因として最も多い高血圧を低下させる降圧療法が主として行われます。
くも膜下出血: 診断されたら厳密な血圧管理のもとCTA(CTアンギオ)や脳血管造影検査を行い、原因となった動脈瘤を探しに行きます。動脈瘤が見つかったら、カテーテルを使って動脈瘤の中に詰め物をするコイル塞栓療法や、開頭手術により動脈瘤にクリップをかける手術が行われることがあります。  

急性期(発症より数時間~約2週間) 

脳梗塞: この時期では血栓溶解療法の適応はありません。最初の数日は症状が最も強く、不安定な時期です。抗血小板薬、抗トロンビン薬、抗凝固薬や活性酸素中和薬などが投与されます。同時に脳梗塞の原因の検索が行われ、全身状態のコントロールも行われますが血圧はむしろ高めで維持します。全身状態に問題がなければ、数日後から一般病棟に移り離床にむけてリハビリが始まります。大きな脳梗塞ではこの時期に脳が腫れ、正常な脳組織にまで影響を及ぼすことがあります。脳の腫れがひどい時には頭蓋骨の一部をはずして圧力を逃す手術(外減圧術)を行うことがあります。 
脳出血: 最初の2日ほどは再出血を起こしやすい時期です。脳梗塞よりも血圧を下げる治療をします。数日後からは血腫の吸収が始まり、全身状態に問題がなければ数日後から一般病棟に移り離床にむけてリハビリが始まります。
くも膜下出血: この時期はこの病気の最大の難所である血管の攣縮(れんしゅく:けいれんによる収縮)が起こります。しばしば強い攣縮を起こし重篤な脳梗塞をきたすことがあります。血管拡張剤や風船カテーテルによる拡張術などが行われます。 

1週間以降~慢性期

いずれの脳卒中でも状態は落ち着いてきます。脳梗塞では原因に応じた再発予防(一度脳梗塞を起こされた方の再発リスクは高いです)の治療が始まります。高血圧、糖尿病などの動脈硬化危険因子のある場合はそちらの治療も必要になります。機能障害の治療の主体はリハビリテーションに移ります。急性期治療が主体の病院ではリハビリ専門病院に転院することが通常です。